第5章 Episode 4
「流石抱かれたい男NO.1...」
「僕もあなたを誘いたいんですが」
いつの間に隣にいたのか。
横から天が覗き込んできた。陸とはあまり似ていないが、端正な顔が真っ直ぐこちらを見つめている。
「え、えっと...?」
「だから、僕はあなたに興味がある。ゆっくり話したいから空いてる日があれば、1日僕にください」
「オフが重なってれば、大丈夫だけど...」
「ありがとうございます」
そう言ってふっと微笑む天は、天使というより小悪魔にしか見えなかった。
紡ちゃんと楽の方を見ると、楽は紡ちゃんに振られたようだった。
そんな楽に天は「だっさ」と辛辣な言葉を投げ掛けている。
「てんてーん」
「にゃあ子ー」
一織と環は何を言っているんだろう。
よくわからない単語を叫びながらリビングに入ってきた2人だったが、どうやら環は天のことをてんてんと呼び、一織はそれを猫だと勘違いして探しに行っていたようだった。
しかし問題はそこではない。
天が持って来てくれた王様プリンがなくなっており、環はご立腹だ。
そんな時、大和の携帯が鳴った。
着信音、モンジェネなんだ。
「ソウからだ...もしもし?──あいつ?来てんの?」
大和の顔色が変わったかと思えば、急に新橋やら親父やら訳のわからない事を口走っている。
そして一方的に電話を切ったかと思えば、一息ついた。
「ナギの部屋にRe:valeがいる。一緒にソウもいるらしい」
「Re:vale!?なんで!?TRIGGERが来るわ、Re:valeが来るわ、この寮磁場が狂ってのんか!?」
「ユキ...」
「雪?雪なんか降ってねぇぞ?」
「ううん、なんでもないよ」
思わず口から出てしまった言葉に環が気付くが、何でもないと誤魔化せばそれ以上追求されることはなかった。
三月は挨拶をしようと提案するが、大和が慌てて止める。
どうやらRe:valeが天が持ってきてくれた王様プリンを食べてしまったらしい。
確かに王様プリンを食べてしまった2人と環を会わせるのは危険だ。
さっきまでとても物騒なことを口走っていたのだから。