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雪解けの春《アイナナ》

第5章 Episode 4





「陸...」



天の視線の先には、泣き腫らした目をした陸。
発作が出ているのか、息は荒い。



「天にぃが何を言ったって、オレは絶対、IDOLiSH7を辞めないからな...っ!天にぃはオレを捨てたけど、みんなはオレを、必要としてくれるんだから...!」



きっと、天と陸で話し合っていたんだろう。
ただ、捨てたとかはよくわからない。
どう見たって天は陸のことを大切に思っているし、陸も天のことが大好きだ。
しかし陸は止まらない。
一織と紡ちゃんに、過去に言ってくれたことを天の目の前で言ってほしいとせがんでいる。



「おい、何があったか知らないが、その辺にしておいたらどうだ。蕎麦が冷めるぞ」



楽が助け舟を出すが、蕎麦屋は黙っていて、と天に一蹴されてしまう。
しばらく押し問答が続くが、陸も天も聞く耳を持たない。



「ボクの言うことが聞けないの?」

「絶対に聞かない!」

「そう。ならもういい。わからず屋と話をするのはもう止める」



天は龍之介に帰るよ、と言い楽も続いて帰っていく。
先程まで賑やかだった寮は嵐が過ぎ去ったように静かになった。
響いているのは、陸の荒い呼吸音だけだった。



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