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雪解けの春《アイナナ》

第4章 Episode 3




「お兄ちゃん、陸は?大丈夫?」

「ああ、さくら。今は部屋で休んでいるよ」



事務所に戻って来てから、お兄ちゃんに陸の容態を尋ねた。
今はだいぶ落ち着いているが、アンコールに出られなかったことで落ち込んでいるようだった。



「そっか。お大事にって伝えておいて」

「会っていかないのか?」

「今はメンバーが一緒にいた方がいいでしょ。それに私は明日取材だし、帰って寝るよ」

「わかった。家まで迎えに行くから準備しておくんだぞ」

「うん。じゃあ、お疲れ様」



お兄ちゃんと別れ、スーパーで買い物をしてから家に帰る。
眠気から晩ご飯を作る気力が起きなかったため、今日はスーパーのお惣菜と冷凍してあったご飯を温め直したものだ。
食べないよりはいいだろう。
食器は明日の朝洗おう。お風呂も明日の朝にしよう。今日は早く寝てしまいたい。



翌朝、寝不足分もしっかりと寝た私は朝から元気だった。
昨日溜めてしまっていた食器洗いと、ここ2、3日の洗濯も済ませ、お風呂に入りメイクと着替えも済ませた。
直にお兄ちゃんが迎えに来るだろう。



「なんてナイスタイミング」



全て準備が終わったと同時に着いたよ、とのラビチャ。
私は鞄を持つと家を出て、兄の運転する車に乗り込み取材の為に音楽雑誌の記者との待ち合わせ場所へ向かった。



「初めまして、Sakuraです。本日はよろしくお願い致します。」

「マネージャーの大神万理です。よろしくお願い致します。」

「こちらこそ本日はよろしくお願い致します。早速取材についての確認ですが、Sakuraさんはメディアにお顔を出されていないですよね。容姿のことは記事には書きませんので、ご安心ください。」

「はい。ありがとうございます」



感じの良さそうな記者と、雑談を交えながらの取材は思いの外楽しく、今回リリースした今回の曲のコンセプトや、次にリリースする予定の曲のちょっとしたネタばらし、今後作りたい曲、他にも休日の過ごし方や好きな物についても話した。
こうして取材は滞りなく終わり、お兄ちゃんと私は事務所へ帰って来ていた。


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