第3章 Episode 2
「さくら!」
「あ、お兄ちゃん。おはよー」
「ああ、おはよう。じゃなくて!ちゃんとラビチャ返しなさい!家に戻ってないから心配しただろう!」
「朝返せばいいかと思って」
未だに過保護なお兄ちゃん─大神万理は、IDOLiSH7と私が所属している小鳥遊事務所の事務員だ。
私のスケジュール管理をしてくれているのもお兄ちゃんだけど、大体のスケジュールは私も把握している。
今日はオフのはずだから、なぜお兄ちゃんがここまで探しに来たのかはわからない。
「全員いるなら丁度いいや。みんな事務所に集まってくれるかな?」
「はーい」
お兄ちゃんの呼びかけに全員が返事をし、事務所へ向かう。私も環から借りた服から私服へ着替えてから自宅へと戻った。
私服からはほんのりと居酒屋の匂いがした。
早く洗濯をしたい。
その晩、お兄ちゃんからのラビチャを見ると、IDOLiSH7が冠番組を持つことが決まったと知らせがあった。
「おおお、凄いじゃん!」
皆が喜んでいるのが目に浮かび、私も自然と笑が零れた。そして、返事をしようとすると続けざまに、その番宣でRe:valeの番組へ出演することも決まった、と送られてきた。
「そっか、Re:valeか...」
"おめでとう。頑張ってね!"それだけ返信し、曲作りでもしようと思い、私はパソコンへと向かった。
曲の土台は出来ている。あとは少し考えたい箇所を修正して、歌詞を考える。
曲から作る時もあれば歌詞から考える時もある。
先に浮かんだ方から作っていくのが私の曲作りだ。
「ここはこうしたんだよなぁー」
結局その日は思うように作業は進まず、諦めて眠りについた。