第3章 Episode 2
「──さん!さくらさん!」
体を揺さぶられる感覚にゆっくりと目を開けると、視界には困った顔をした一織が私を覗き込んでいた。
そういえばソファで眠っていたんだった。
「一織おはよー」
「おはようございます。それより、この酔っ払い1号2号は昨日からこのままですか?」
「そうだよ。全然起きなかったから放置してた」
「あなたも大和さんも兄さんも、風邪をひいたらどうするんです。せめて暖かくして寝てください」
一織はお母さんみたいだなーとぼんやり考えていると、酔っ払い2号─大和がのそりと起き上がった。
1号もそれを合図にしたかのように起き上がった。
「あぁーやべぇ。完全に二日酔いだ...」
「オレも...途中から記憶ねぇ」
「大和さんも兄さんもしっかりしてください」
「一織ー...お願い水持って来てー...」
三月のお願いに、一織はやれやれと言いつつもコップに水を注いで3つ持ってきてくれた。
私は二日酔いにはなっていないが、やはり寝覚めの水は格別だ。
「2人共ごめんねー、飲ませ過ぎた」
「いや、いいよ。俺らも楽しかったし」
「そうそう!居酒屋での記憶は割とある!」
逆を言えば居酒屋での記憶しかないんだな。
「オレ、どうやってここまで来たんだ...?」
「大和は環が運んでくれて、三月は私が運んだ」
「マジ?さくら男前...じゃなくてごめん」
「タマにも謝らないとなー」
そんなことを話していると、環がやって来たため、大和は環に謝罪する。
環は私がお菓子と王様プリンを買ってあげたからか、寧ろ上機嫌だった。
その後壮五、ナギ、陸もやってきて、IDOLiSH7の全員がリビングへ揃った。
「Oh!サクラ久しぶりです!」
「あ、ナギここなのストラップあげるよ。お茶のおまけだけど」
「エクセレント!!!ありがとうございますサクラ!あなたは女神です!」
お世辞にもクオリティが高いとは言えないおまけのストラップだが、ここまで喜んで貰えるのならまたあげようかな。
壮五と陸も久しぶりと挨拶を交わしてくれ、IDOLiSH7の暖かい雰囲気にとても和んでいた。
その時、玄関の開く音がして、リビングに人が入ってくる。