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ここはシリーズif短編【HUNTER×HUNTER】

第4章 上司はイルミさん





もしかしなくとも私の時間ロスにより上司も帰れないという状況なのだろうか……なんて考えが頭を過って即座に頭を下げる



「……遅くて……すみません」


「本当にね。何がそんなに時間が掛かる訳」


言いながら立ち上がった上司はゆっくりと私のデスクに歩み寄ると書類とパソコン画面を交互に覗き見た

長身の為に随分屈んだ上司からふんわりシャンプーの香りがしてまるで作り物の様なこの人も人間なのだな……なんて思ったのもつかの間


「要領が悪い。俺ならこの書類は後回しにする」


「え」


「だってこれ他の書類を先に作ればコピーと張り付け繰り返すだけで作れる。受け取った書類は先に目を通して期日も把握した上で順序は自分で決めるのが基本だよ」


「……考えた事も無かったです……」


「だから要領が悪いんだよ。」


溜息を付いた上司は上体を起こすと革靴を鳴らしてオフィスの扉を開くと悠々と振り返り


「其れだけ出来たら今日は良い。さっさと出て」


「はい!」


と単調に言うので私は慌てて上司の隣を通り過ぎオフィスを後にすると真っ暗な廊下に私のヒールの音と革靴の音だけが響いた


無言で気まずいままエレベーターに二人乗り込む

チラリと上司を見上げれば上司も此方を見ていて咄嗟に視線を反らした

イルミ,ゾルディックさん………彼はめちゃくちゃなエリートらしい。その上司が何故私達なんかの新入社員がいるオフィスにいるのか不思議に思った事がある

その理由には諸説噂があるので解らないがプレゼン上手で企画は100%通るらしい。
人を指導するのが上手いに違いなく、口煩い訳では無いが付かず離れずの場所で見守ってくれているのかもしれない……なんて思ったり……


「辞めたくなった?」


突然密室で放たれた言葉に見上げれば真っ直ぐ前を見据えた上司の横顔


「いえ!明日からもっと頑張ります!」


「そう。…………今なら夕飯奢るけど……どうする?」


「へ!?あ、お、お願いします!」


まさかのお誘いに裏返った声は狭いエレベーターに良く響いた



__________"



私生活の見えない上司に連れられて来たのは隠れ家的なおでんやさんだった

一言でおでんやさんと言っても庶民染みた店では無く所謂高級感漂う店で緊張してしまう


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