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【短編集】My Favorite【R18】

第6章 女王様は#


なるべく皆に姿を見られぬよう、巣の中を端から練り歩いてみる。
巣の奥にある広場、雄たちの部屋…廊下はもちろん、ピロティまで。

だけど、探しても探してもレイを見つける事はできなかった。

(……いや、そもそも何で私、こんなに執着してるのよ…)

ちょーっと気に入ったぐらいで自分から探し回るなんて、そんな事をしなくても雄たちは星の数ほどいる。

…そうよ。
レイにこだわる理由なんてないわ。

高く空をオレンジに染める夕日を暫く見つめ、気持ちを整理した私は帰路に着こうと体の向きを変えた…時だった。

「…何してるんですか。」

「!!!」

背後から掛けられた声に、私の心が大きく弾む。
一瞬だけ息を忘れて振り返ると、ずっと探し求めていた人がそこにいたのだ。

背が高くて…カッコよくて…私の誘いを断った最初の雄が。
思わず目を細めてしまったのは、眩しいオレンジの光だけが原因じゃないはず。

「…わ、私が何しようと勝手でしょ。そっちこそ今まで何してたのよ。」

「俺が何しようが俺の勝手でしょう……」

「………」

「…はぁ、外を飛んできたんですよ。それだけです。」

「そう。それで、今からでも遅くないから、私の誘い…乗るわよね?」

相変わらず無表情なレイ。
強めに言わないとまた断られそうなので、私は心もち威圧的に言ってみる。

そしたら彼は、意外にも素直に頷いて私を驚かせた。

「…いいですよ。」

「え?あ、そ、そう!ようやく勤めを果たす気になったのね!褒めてあげるわ。」

「はぁ…」

誘いを受け入れたにしては乗り気でない様子だが、私はもらった返事に満足して「行くわよ」とレイの手を引っ張り、大股で寝室に舞い戻った。
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