第6章 女王様は#
私は段々腹の中がムカムカしてきて、苛立つままに「フンッ」と鼻を鳴らして素早く踵を返す。
大勢の前で恥をかかされた気分だ。
絶対に許さない…!
仕返ししてやるんだから…!
呆然と突っ立っている蜂たちの隙間を掻き分けて、私は自室に飛び込んでベッドにダイブした。
うつ伏せでシーツをポカポカと殴り、怒りを子どもじみた方法で発散する。
「ああーっ!腹立つぅうーっ!何よあいつ!」
シーツに顔を埋めて叫べば、一瞬だけ気持ちがスッキリした。
だけど次の瞬間には思い出してイライラする。
無限ループから抜け出せない私は、延々とベッドの上でのたうち回り、挙句の果てに疲れて寝てしまった。
「……ん、あれ………」
乱れたシーツの上で目を覚まし、動かずに目線だけをあちこちに向けてみる。
(…もう夕方ね…。)
何時頃かは感覚で分かる。
夜が近い時間帯ということもあり、私はちょっと心がウキウキした。
あの雄が来る………
(…って、いやいや、あいつは私を振ったのよ!何を喜んでるのよ復讐が先なの!)
寝てスッキリしたせいか、怒りの気持ちを忘れていた私は自分の頬を叩いた。
この私に恥をかかせたんだから、部屋に来たらそれなりの仕置きは受けてもらうんだからね!
そう決心したのに、どれだけ待ってもレイが姿を見せる事は無かった。
次の日もその次の日も…
気が付けば不満より孤独の感情の方が勝り、私はレイを探しに再び部屋から出た。