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扉の向こう

第2章 お家。


【二階堂side】


楽しそうに自己紹介なんてしているメンバーたちを横目に、用意された食事を進める。零も少しは気持ちがほぐれたか?表情が柔らかくなった。...安心した。






『...お兄、ちゃん?』






ぽつりと呟いてすぐ、頭を抱えてうずくまると、崩れるように零が椅子から落ちた。


「零ッ!!!」


床に落ちるギリギリ手前で、零の体を支え抱えると呼びかけた。


「零ッ!!大丈夫かッ!零ッ!!」


顔を覗きこんだが、静かに眠っているように気を失っていた。俺はそのまま抱き上げ立ち上がり、メンバーに声をかける。


「とりあえず、俺の部屋に運ぶ。」


みんなが、俺を呼んでいる気がしたが、メンバーに目もくれず、部屋に向かった。他の奴に気を配るほどの余裕が、今の俺にはなかった。













部屋に入り、零を静かにベッドに寝かせる。零は、規則正しく呼吸をして眠っていた。救急車を呼ぶコトも頭をよぎったが、様子見で大丈夫そうだ...。






「...意味わかんねー。」


まだ知り合って半日もたってないのに、零のコトになると、自分の中をかき回されるような、気持ちが高ぶるような、そんな状態に理解ができない...。




零の顔にかかる髪をどけてやると、触れた指先が熱を持ったように熱くなる。長いまつ毛や小さな唇、まるで人形みたいだ。そして今でも、あの真紅の瞳が頭から離れない...。

しばらく、月明かりで浮かび上がった零の顔を眺めていると、ドアをノックする音が響いてリクが入ってきた。


「大和さん、どうですか?」

「あぁ、落ちてるよ。このまま、寝かせておけば大丈夫だろ。」

「そっかぁ、よかった。...でも、みんなもビックリしてましたよ。大和さん、急に零のコト連れて行っちゃうから。」

「はは...、悪かったな。」

「じゃあ、みんなにも大丈夫だって伝えてきますね。」



...だよなー。メンバーから見たっておかしな行動だったよな。








全部...、その瞳のせいだ。









ほんっとに...、意味わかんねぇっつーの。


 
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