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扉の向こう

第2章 お家。


 

『お風呂、ありがとうございました。』

「おー。服、それで大丈夫だったか?」

『うん、かなり大きいけど(笑)。ありがとうございます。』


缶ビール片手にくつろぐ大和さんの横で、料理男子が大きなテーブルに2人分の夜ご飯を並べている所だった。


「おっさんも少しは手伝え!零を待たせたら可哀想だろうが!」

「お兄さん、今日は疲れましたー。やっと飲めたんだから、勘弁してくれー。」

『あれ、私の名前...?』

「零ちゃんがお風呂へ行ってる間に、大和さんから今日のコト聞いたんだ。」


大変だったね。と、優しさ満開男子が冷たいお茶を用意してくれた。ありがとうございます。と、お茶を受け取り、少し火照った体の中に流し込む。
そんなやり取りをしているうちに、私と大和さんの夜ご飯ができあがった。私は促されるままに席について、「いただきます」と2人で食べ始めた。


『...あ。美味しい♪』

「当然です。兄さんは調理師免許を持っているんですから。」

「連れてくるのが女の子だってわかってたら、デザートも用意したのに...。おっさん、独り占めしたかったのかよ(笑)」

「そんなんじゃないし、ってか、俺はおっさんじゃなくてお兄さんだっつーの。」


...みんな、仲が良いんだなぁ。やり取りを眺めているだけで楽しいし、なんだか気持ちが暖かくなる。





「ねぇねぇ!俺たち、まだ自己紹介してなかったよね?俺、七瀬 陸。よろしくね。」

「ワタシは、六弥 ナギです。マイプリンセス、今度2人でデートしましょう。」

「逢坂 壮五です。よろしくお願いします。」

「四葉 環。よろしく、れいやん。」

『...れいやん?』

「四葉さんは、みなさんのコトをあだ名で呼ぶんです。私は、和泉 一織です。」

「和泉 三月だ。和泉 一織の兄貴、よろしくな!」






『...お兄、ちゃん?』









ーーーッ!!!

頭の中で、突然、映像が再生された。

優しそうな笑顔で、私の頭をなでる大きな手。
「ーー、ーーーー。」
何か喋っているのに、何も聞こえない...。













貴方は、...誰?













「ーーーッ!!!」

激しい頭痛...。痛い、...痛いッ!!
私は、そこで意識を手放した...。


 
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