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扉の向こう

第2章 お家。


 

中に入ると、広いリビングがあった。
その奥の方のキッチンから声をかけられた。


「おー、おかえり大和さん。1人分追加で飯作っといたぜ。」

「サンキュー、ミツ。急で悪かったな。」

「いいって、いいって。あ、みんな食い終わってるから、あと大和さんとその子だけな。」

「...だそうだ。腹減っただろ?零。」

『減った...けど、...え?』


話がスムーズに進みすぎて、頭の中が追いつかない。そりゃお腹は空いてるよ?公園で目を覚ましてから何も食べてないし、その前は覚えてないから、最後にいつ食べたかなんてわからない。
ぽかーんとしてると、ソファーから超絶美形男子が立ち上がり私の方へ近づいてきた。


「美しいプリンセス、ワタシと一緒にディナーはどうですか?」

「六弥さんは、もう食べ終えたでしょう。こんなところでナンパなんかしないでください。...それよりも、あなたはまず、シャワーを浴びてきた方が良いんじゃないですか?」


私の手を握る超絶美形男子の手を、ツンケン男子が離しすと同時に、鋭い言葉が刺さってきた。...言葉きっついなぁ、彼。


「そしたら...、リク。風呂場まで案内してやれるか?俺は着替えとタオルを用意してくるから。」


大和さんから"リク"と呼ばれた子犬男子に、お風呂へ連れていってもらい、シャンプーやボディーソープの場所も教えてもらうと、子犬男子は脱衣場から出ていった。1人になり、ふと鏡を見ると、酷く汚れた姿があった。


『こんなに、汚れてたんだ...。』


何をしたら、こんなに汚れるんだろう。
私は、何を...していたのかな?



...。


不安は大きいけど、...今は、考えてもしょうがないか。覚えてないんだもん。

みんなを待たせちゃ悪いから、早くシャワーを浴びてこよう。私は、汚れたワンピースを脱ぎ、浴室へ入った。











洗い終えて浴室から出ると、汚れたワンピースの代わりに、男性物の上下の服とバスタオルが畳んで置いてあった。さっき、大和さんが用意すると言っていたから、服は大和さんのなんだろうな。

ふわふわのバスタオルで全身を拭き、用意された服を着てみると凄く大きかった。鏡で見てみると、ぶかぶかでなんだか不自然な姿が、少し面白くて笑ってしまった。


 
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