第11章 招かれた客
『良かった、てっきり引かれたのかと…「「違う!!」」「違います!!」
「つか元はと云えば手前が仕掛けたンじゃねェかよ。」
「此れは想定外だよ。」
「もしかしてツナ缶買いに行かせたのって其の為だけですか?」
「勿論だとも!」
「本当に此の人は…。」
「俺もお陰で明日に仕事持ち越しだ。」
「中原さんも何かされたんですか?」
「此奴から珍しくメールが来て冥土なう。って書いて或ったからよ、胸騒ぎがして急いで帰ったらメイド姿の愛理が居た。」
『太宰さん、そんな事送ってたんだ。』
「私は今すぐ帰って来いなんて一言も云っては無いよ。」
「そう云う意味合いが含まれてたンだよ、あの内容にはよ!!」
「えぇーっ、中也って日本語を上手く訳せないの?可哀想。」
「何だと、此の野郎!!」
先程同じ様なやり取りをした筈なのに凝りもせずまた繰り返す二人。
そんな人達は放っておいて敦君を部屋のソファーに案内した私は装着している猫グッズを取り外す。
「愛理さん、よく太宰さんの悪巧みに乗りましたね。」
『ん?面白そうだし良いかなって!』
「ちなみに何故メイドと猫なんですか?」
『鉄板だから!ナースと警察官も良かったけど其れだとなんか物足りなくて。」
「如何云う基準ですか、其れ。」
呆れ顔をしている敦君に冷えたオレンジジュースを出してあげると御礼を云って飲む。
もうすぐ戻って来るであろう二人の分のお酒と簡単なおつまみも出して置く。
あ、丁度来たみたい。
「そもそも君が愛理に欲情するのが悪いのだよ。」
「あの格好にしねェ方が可笑しいだろ!!」
「君、胸愛好家なのかい?それとも脚愛好家?」
「どっちでもねェよ!!愛理だから良いンだろうが!!」
中也の言葉に嬉しながらも恥ずかしがっていると漸く自分が発した言葉の意味に気付いたのか彼迄頬を染めている。
「あんまり見せつけないでくれるかい?」
「手前が仕掛けたンだろうが…」