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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第11章 招かれた客




「いやいやいや、如何云うことですか此れは!!」


-遡ること三十分前。


事件の調査を終え、何時もより早めに直帰していた僕と太宰さんと愛理さんは約束通り愛理さんの家に来ていた。


近くのお店で買い物を済ませ早速下拵えをしている彼女を余所に太宰さんは何か思い付いた顔をしたので如何したのか尋ねれば急にツナ缶が食べたくなった、と云い出した。
更には先刻のお店で買って来いとさえ。


最初は愛理さんが行こうとしたが彼女は料理をしているし僕は手が空いている。
……太宰さんもだけど。
当然太宰さんが行く筈も無く目的を終わらせ愛理さんの家へ戻り扉を開けてもらうと其処には猫が居た。
否、正しくは部屋着に猫耳と尻尾と首輪を付けた愛理さんだが。


『御主人様、お帰りにゃん。』

「御主人様、お帰りだって。」

『にゃっ!其れはツナ缶!食べたいにゃん。あーんしてにゃん。』

「早くツナ缶開けろ、こっちはお腹空いてんだよだって。」

「いやいやいや、如何云うことですか此れは!!」


其処で冒頭に至る。
愛理さんの猫姿可愛い…。
否、其れは勿論のことだけど大きめのTシャツにショートパンツと云うのもそそる。
色白の愛理さんは矢張り脚も白くて程良く肉付きも有り何というかもう……。


「矢張り敦君には此れくらいの刺激で丁度良かったみたいだね。」

「いや、何なんですか此の状況。と云うか通訳要らないし最後凶暴になってるじゃないですか!」

「悪ィ。止めたンだが……」

「中原さんに責任は無いですよ。全ては太宰さんのせいですから。」

「いやいや、愛理ちゃんも同罪じゃないのかね?」

「可愛いは正義です。」


太宰さんは少しショックを受けながらも納得しているようだった。
其の横で愛理さんはあっ、そうだ!と何やら閃いたらしい。


『がおーっ。食べちゃうぞ!』

「「「………。」」」

『えっ!?駄目だった!?敦君が虎化した時を真似したんだけど。』


違う。全くもって違う。
可愛すぎる。
其の格好で両手を猫の手にしてあの台詞。
何かもう可愛いしか出てこないや。


「愛理ちゃん、卑怯だよ。」

「本気で抱き潰してェ。」

「可愛すぎます。」


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