第11章 招かれた客
其の日の夜。
私は御飯を作りながら中也に文句を云っていた。
『あれだけ目立つ処は止めてって云ってるのに!』
「だから悪ィって。」
『とか云いながらまた付ける気でしょ!』
「手前ェが可愛いのが悪ィんだよ。」
『なっ……!そ、そんなのじゃ誤魔化されないんだから!』
「あ?本気だぜ?」
ソファーに座ってテレビを観ていた中也は立ち上がると一直線に此方に向かって来る。
嗚呼、なんか変なスイッチを押してしまったと気付いた時にはもう既に遅い。
「別に見せつけときャア良いだろうが。」
『恥ずかしいの!って何処触ってるの。』
「尻。」
『そう云う意味じゃなくて!もうっ、御飯作れないから座っててよ。』
「分ァーったよ。」
すんなりとソファーに戻る中也に違和感を覚えながらも少し寂しい気持ちになる私はとことん惚れ込んでいるのだと思う。
痕を付けられるのも本当は嫌じゃない。
寧ろ愛情や独占欲の表れだと思えば嬉しい。
ただ、人に見られるのは恥ずかしいだけ。
其れを分かっているからこそ彼もわざと付けるのであろう。
御飯とお風呂を済ませた私達はベッドの上に居た。
所謂情事の後だ。
体力お化けな彼とは違って人並みの体力しかない私は今にも寝てしまいそうな身体を無理やり動かし中也の首に吸い付いた。
「っ!?……愛理は良いのかよ。」
『私なりの愛情と独占欲の表現。』
「手前ェ、もっかい襲って欲しいのか?」
『ちっ、違う!……でも中也だけ狡いから。』
「如何云う事だ?」
『痕を付けられたら周りにからかわれるのよ?其れに、痕を見る度になんか、幸せな気持ちになるって云うか。だから同じ思いをして欲しくっ………!!』
云い終わる前に中也は私の上に乗り深い口付けをしてきた。
……本当に体力お化けなんだから。