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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第7章 四月莫迦を君と 其の二




「ねぇねぇ、お菓子無くなっちゃったー。」

「買い置きが棚に或ります。」

「其れももう食べたー。」

「…分かりました。敦、悪いが買ってきてくれないか?」

「はい!行って来ます!」

『あ、私も行く!買いたい物或るし!』

「じゃあ私も…「お前は仕事を終わらせろ、太宰。」ちえっ。」

『行こっ!敦君!』

「敦君、愛理の事を頼んだよ〜。」

「はっ、はい!!」


愛理さんとこうやって街を歩くなんて僕は幸せだ。
此れが例え買い出しでも、愛理さんに恋人が居ようとも隣を歩けるだけで幸せだ。


『何か楽しそうだね?』


考え事をしていた僕は愛理さんが意外と近くに居たことにびっくりする。


「うぇっ!?あ、いや、そう見えますか…」

『ふふっ、変な声ー。でも今日はお天気も良いし散歩日和だよね。』

「もう四月かぁ…。早いなぁ。」

『敦君が入社してから忙しかったしあっという間だね。』

「あはは…」

『ところで!今日何日か知ってる?』

「えっと……一日ですよね?」

『御名答!そして四月一日と言えば?』


四月一日?
何かあったかな?
今日は祝日だから入学式でも無いし。
あ!誰かの誕生日とか?


「誰かの誕生日ですか?」

『違うよー。四月莫迦って知ってる?』

「あぁ!聞いたことあります!その日は嘘を付いても許される日だと。」

『という訳だから敦君も許してね?』

「…え?何を?」

『考えてみ給えよ。君にとって非日常的な事だよ。』


彼女は顎に手を当て太宰さん風に云う。
“僕にとって非日常的な事”って何だろう。
買い出しは何時も行っているし、愛理さんと二人で外出する事も或る。
まぁ任務や買い出しだけど。
ん?待てよ?太宰さん風に……


「太宰さんが関係していますか?」

『ふふっ、当たり。』


だとしたら何だろう。



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