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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第4章 オフィーリア




「おや、その様子では居るんですのね?」

『いえっ、特には…。』

「嘘だねー。まっ、僕は全部知ってるけど。なんたって名探偵だからね!」

『ぜっ、全部!?そうですよね、超推理が有るんですもんね…。』


さっきとは打って変わって顔を白くし、何やら動揺しているらしい。
過去に何かあったんだろうか…。


「お姉さん、此のお茶もう一回飲みたい。」

『あ!ミルクティーね?今お代わり持ってくるから待ってて!』


鏡花ちゃんの言葉でハッとした愛理さんは逃げるように給湯室へ駆け込む。
其れを確認して太宰さんは皆に告げた。


「あんまり過去の事は詮索しないであげてくれ給え。」


太宰さんは何か知っているのだろう、ただ其れを問い詰めるつもりも無い僕達は無言で頷いた。








あの後ミルクティーを持ってきた彼女の様子は普段通りだった。
そう、何もかもが普段通り。……だった筈なのに。
何で僕は今愛理さんの家の前に居るんだ!?
いや、そもそもこの時間(22時)に女性の家を訪ねるって有りなのか!?
如何考えても有りじゃない。
嗚呼きっと僕は明日から蔑む様な眼で見られるんだろうなぁ…。


「あっ、こっ、今晩は〜。」


拙い、愛理さんの隣の家の人から変な目で見られてしまった。
きっと僕はこの儘通報されてしまうのだろうか…。
世間から白い目で見られるくらいならば、もうどうとでもなってしまえ!!


ピンポーン


『はい?』

「あっ、今晩は。敦ですけど…」

『えっ!?敦君!?一寸待っててね。』


ガチャ


『いきなり如何したの?まぁ立ち話も何だし上がって。』

「夜分遅くにすみません。実は…」


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