第4章 オフィーリア
『今朝は何時もより遅れましたからね。…よしっ!仕事しましょう?しないとふぉんだんしょこら、あげませんよ?』
「ぐぬぬっ。…愛理ちゃんの隣で手を打とう。」
『それじゃあ何時もと変わらないじゃないですか。』
彼女はクスクスと笑うとご丁寧に自分の隣の椅子を引いてあげ太宰さんを座らせる。
其処へ机に書類を置くと今度はお返しだと云わんばかりに太宰さんが愛理さんの椅子を引き座らせる。
何時も思っていたけど此の二人お似合いだなぁ。
美男美女だし。
愛理さんは気立ても良くて優しいし料理上手だし本当に貶す所が一つも無い。
「敦!貴様も呆けとらんで仕事をしろ!」
色々と考えている内に手が止まっていたようで国木田さんに怒られてしまった。
本当に僕なんかとは大違いだ。
あれから黙々と仕事を進め気付けばもうすぐ昼休憩の時間だ。
ここ最近は街は平和で護衛の仕事はあるものの事件や捜査の依頼は少ない。
なので必然的に内勤になる、のはいいが普段動いているせいか身体が強張って疲労が身体に溜まってしまう。
そんな僕達を見兼ねてか或いは乱歩さんに頼まれてか愛理さんは二日に一度お菓子を作ってきてくれる。
一昨日はプリンでその前はチイズケエキだったかな?
どれも絶品だ。
今日は今朝話していたふぉんだんしょこらというものらしいが此れもまた美味しいのだろう。
『皆さん出来ましたよー!』
愛理さんの凛とした声と共にチョコレイト独特の甘い香りが漂う。
それを合図に各々キリの良い所で仕事を止める。
「待ってましたー!」
「おや、乱歩さんは朝食べたんじゃなかったのかい?」
「其れは其れだよ。あむっ。んー、美味しい!!」
『ミルクティーも有りますから是非ご一緒にどうぞ。』
「流石は宮野だ。いつも有難うな。」
『いいえ、お菓子作りは私の趣味みたいなものですからお気になさらずに。』
「じゃあ結婚しようか!」
は?
乱歩さんの衝撃的発言に一同固まる。
「え?え?乱歩さん、今何て…」
「だーかーらー、愛理ちゃん結婚しようって云ったの!愛理ちゃんはお菓子作りが好き。僕はお菓子を食べるのが好き。ね?利害が一致してるだろう?」
……いや、そう云う問題じゃないんじゃ…。