第3章 夢
-次の日。
あの後私は無事に家まで送ってもらった。
今は何時も通り出勤する為に自宅から出ようとした所で見慣れない光景にはたと脚が止まる。
『えっと…、如何かされましたか?』
「中也がきちんと送り届けたのか確認しに来たのだよ。」
『?勿論送って頂きましたよ?』
「変な事はされなかったかい?何か有ればすぐ私に云ってくれ給え。」
はい。と返事をすると同時に着信音が鳴る。
電話かと思い慌てて携帯を確認すると中也からで、連絡先の登録を頼むものと昨日無事に帰れたかのメールだった。
自分で自宅まで送ってくれたのに確認するなんて案外心配性なんだな。
思わずふふっ、と笑みが溢れる。
「誰から?」
『中也ですよ。優しいですよね、あの人。』
「……ふぅん。」
『ってもうこんな時間!?太宰さん、行きましょう!遅刻しちゃいます!!』
「私は此れから入水する時間だから…。」
『行きますよ!』
今すぐにでも逃げ出しそうな太宰さんの腕を組みそれを阻止する為にそのまま探偵社へと向かう。
心なしか彼の顔が赤いような気がしたが日差しにでも当たり過ぎたのだろう。
時は変わって昼休憩前。
私はそう云えば、と思い出し国木田さんの元へと向かう。
『非常に云いにくいんですけど来週の休み火曜日に変更出来ませんか?』
「ん?嗚呼、良いぞ。」
『えっ!?本当に良いんですか!?』
「他でもない宮野の頼みだからな。何処ぞの唐変木と違ってお前はよくやってくれている。それぐらいの頼みであれば聞き入れる。」
『国木田さん…。有難う御座います!』
「なンだい?彼氏でも出来たのかい?」
「えぇっ!?ナオミ聞いてないですわよ?」
休み変更を聞き入れて貰えてホッとしたのも束の間。
突如現れた与謝野さんとナオミちゃんに肩を掴まれ、緊急事態なので早めに昼休憩行きますわよ!と喫茶店うずまきへと引き摺られる。