第3章 夢
「っ!?……成る程。姿を消せる異能力って訳か。」
『正確には気配を消す、ですけどね。私が触れた物も同様です。流石に列車等大きい物は無理ですけどこれくらいの暗器なら。』
そう云って彼女は懐から暗器を取り出し目の前で透明化して見せる。
関心した中也はポートマフィアに居たら暗殺専門だなと物騒な事を考えていた。
「彼女は渡さないよ。」
「…まだ何も云ってねェだろうが。」
「まだって事は云う心算だったのだろう?」
「チッ」
突然の話題にはてなマークが浮かぶ愛理だったが二人の会話を整理している中で此処に来た目的を思い出す。
『あのー、そろそろ任務遂行しません?』
「そうだね。帽子置き場と話すなんてこんなに時間な無駄な事は無いし。」
「本ッ当に手前ェはよォ……!!」
『あっ!そうだ!帽子お返ししますね?中原さんってお洒落ですね。』
普段真逆の事を云われているせいか中也は愛理の一言で気分が高揚してしまう。
其の事とほんのり赤くなった顔を隠す為帽子を深く被り直しながら一言告げた。
「…中也だ。」
『え?』
「“中原さん”なんかまどろっこしいンだよ。中也でいい。」
『ふふっ、じゃあ行きましょう!中也さん!』
「だから“さん”も要らねェッつってんのに」
先に目的のコテージへと向かう愛理を追い掛けるように中也も向かう。
その姿を見て太宰は一人、眉を顰めた。