第19章 海月
ナ「それで愛理さんはどんな方法で御二方を射止めたんですの?」
谷「ちょっ、ナオミ!!」
太「ふふふ。佳いのだよ。そろそろ明確にしておかなければいけないしね。」
焦る潤一郎君を制止し黒い笑みを浮かべ此方を見る治。
此れ未だ引きずってるな。
そんなに中也と相棒なのが気に食わないのか。
太「私が愛理の恋人だよ。で、其方のちびっ子マフィアはただの相棒。」
中「五月蝿ェ!放浪者!」
ナ「そうなんですの!?とても仲が宜しく見えたのでてっきり恋人かと……」
やめてナオミちゃん。
其れ以上治に着火しないで。
中「つッても俺も愛理の事好きなンだがな。まぁ将来を約束してるのは俺だからな、その内別れンだろーよ。」
太「…………其れ如何云う事?」
ねぇ、貴方スパダリじゃなかったの?
私の心情汲み取ってよ。
しかもなんで暴露大会みたいになってるの?
国木田君?さん?も遠くで破廉恥な!!とか云わない
でくれる?
嗚呼もうやだ。私抜きで話してよ。
『えっと……家事してくれるので、その、結婚したら楽そうだなぁと。』
太「そんな理由?」
『あ、はい。……あと既に熟年夫婦感あるし一緒に居て楽なので。』
太「ふぅん。」
怒っている治に云い訳や嘘、誤魔化しは一切通用しない。
なので正直に話したのだが矢張り墓穴を掘ったらしくかなり不機嫌なのが目に取れる。
解決策を考えていると先程までの着火娘、もといチャッカウーマンが口を開いた。
ナ「其れなら心配ありませんわ!太宰さんも今家事の練習をしているところですし、近く出来るようになります!そうしたら将来は二択になりますわね!」
『は?家事の練習?何それ。』
すると何処からともなく現れた美人なボブカットの女性が或る一冊の本を手渡してくれた。
与「太宰はねぇ、アンタの為に愛読書を変えたンだよ。何時も実践練習もしてるよ。料理は最近は簡単なものなら作れるようになったンじゃないのかい?兎に角アンタの為に此の男は必死なんだよ。」
太「与謝野先生?」
与「佳い機会じゃないか。本を見たって其れが正しい訳じゃアないんだ。其の人好みの料理の味付け、掃除の仕方、が或るからね。要は本人に習うのが一番ってことだよ。」