第19章 海月
周りからの痛い子を見るような視線を無視して辿り着いたのは武装探偵社だった。
中「つーか矢ッ張り此処かよ。」
『だね。真逆の職権乱用!?』
太「遠からず…って所かな。まぁ入ってごらんよ。」
治に勧められて扉を開ければ机仕事をしている社員が見えると共に凄まじい怒号が飛んでくる。
国「くぉぉぉぉおら太宰!!!貴様という奴は……出社時間はとうに過ぎてるぞ!!早く仕事をせんか此の馬鹿者!!!」
中/貴「『…………。』」
太「すまないね、国木田君。私の手帖によると今日はやらなくてはいけないことが沢山或るのだよ。依頼者の願い聞き、河川敷のパトロール、食事の毒味。嗚呼、忙しい……。」
国「其れの何処が忙しいんだ!!ただの入水と食事と仕事ではないか!………ん?今依頼者と云ったか?」
太「うん。そして依頼者は此の二人。」
そう云うと治は奥の方で机仕事をしていたセーラー服の女性に声を掛けた。
ん?あの服何処かで……。
太「ナオミちゃん。連れて来たよ。」
ナ「え?…………まぁ!本当に連れて来て下さったんですのね!?兄様!!」
谷「如何したの?………ってあの時の!!」
思い出した!!
この前のレストランで身も心も不細工な男にいちゃもん付けられてた人達だ!
『ねぇ、中也!!』
中「嗚呼……世間って狭いモンだな。」
ナ「本当にあの時はありがとうございました。もう一度改めてお礼をしたいと思っていたんですの。会えて嬉しいですわ。」
中「礼には及ばねェよ。俺が見ててムカついたから割り込んだ迄だ。」
『うっわ………スパダリかよ。』
スーパーダーリン、略してスパダリ。
一途で余裕と包容力があり料理が出来て、更には高収入高学歴高身長のハイスペックを持ったイケメンのこと。
『私中也の魅力に気付くの遅かったかも知れない…。』
中「あァ?今更かよ。」
ナ「でも残念ですわ。あと身長さえ高ければスパダリの条件に合っていましたのに……。」
太「ぶっ!!あっはははは!!中也残念だったね!」
ナオミちゃんの爆弾発言にお腹を抱える一同。
そして彼女は更なる爆弾を私たちに投じた。