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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第19章 海月




其処から如何やって帰ってきたかは覚えて居ない。
ドッキリを仕掛けられた際に彼と半同棲気味で或ると云うのは聞いたが真逆今も続けているとは…。


そして中也も愛理に好意を寄せているのだ。
求婚されたと愛理は云っていた。
同情やその場の勢いでそんな事を云う男では無いからして本気だろう。


だとするとかなり不味い。
自分と居るよりも中也と居る時間の方が圧倒的に多いのだ。
交際を始めてからもメールや電話は二、三日起き。
逢瀬はお互いに仕事の都合も或るので二週に一度程。
とはいえ太宰は何時も通り仕事をサボり無理やり都合をつけているのだが。


太「うん、矢張り居ないか。」


早歩きで辿り着いた先は愛理の家。
呼び鈴を鳴らしても出ない。
電話を掛けても出ない。


太「やってくれるね、蛞蝓のくせに。」


うだる様な蒸し暑さの中、彼は次の一手を打つべくゆったりと歩みを始めた。



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