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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第18章 拾い者と落し者 其の二




しまった。と思った時にはもう遅かった。
私の首にはしっかりと外套から伸びた黒い悪食が絡み付いていた。


『ゔッ…………はな……し…て。』

芥「その減らず口、閉ざしてやろう。」

樋「先輩!!!」


周りでは龍之介を止めようとしているが相手が悪い。
一斉に襲いかかったとしても彼が怯むことは無いだろう。
詰まる所、此の光景をただ見ているしかないのだ。



『りゅう………の………………』


やばい、本当に意識が飛びそう。
そう思った頃にはもう目の前は真っ暗だった。


樋「せ、先輩……如何して………。」

立「そうっすよ!!何も殺すことは無いでしょう!

芥「案ずるな。息は有る。」


彼女の元へ行き呼吸をしているのを確認した芥川はそのまま倒れた彼女を抱える。
流石の樋口も此の状況では羨ましい、等とは思っていないようだ。


芥「樋口、あとは任せたぞ。」

樋「えっ?……あ、わっ、分かりました!」


不意に後処理を頼まれ慌てふためく樋口の返事を聴く間も無く執務室から出て行った。
廊下ですれ違う度に“あの芥川さんが女を抱えている”と口々に興味本位に云う構成員には目もくれずただただ目的地へ向かう為歩いた。




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