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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第18章 拾い者と落し者 其の二




時は変わり私と龍之介は首領室の扉の前に立っている。
先刻から何度も叩敲しているが一向に返事が無い。
もしや有事かも知れない、と龍之介と目が合い互いに頷いた後扉を開けると其処には————











フリフリのドレスを持って美少女を追いかけ回すおっさn………ではなく首領が居た。











私達はそっと扉を閉めた。
これがそっ閉じってやつだね。
久々に無心になった気がする。


芥「げほっげほっ。」


心なしか龍之介の咳も悪化してるよ。
あぁー、扉の向こうでなんかバタバタしてる。
急いで片付けてるんだろうなぁ。


森「入り給え。」


物音が止み終わったかと思えば首領の威厳のある声が聞こえ部屋に入るように促される。


森「君達は何も見ていない。いいね?」

『えぇ。フリフリのドレスを持って幼女を追い掛け回す首領など見ていません。』

芥「僕も同じです。」


一体何度ネタにされてきたか分からない一連の流れを無事に終えると首領はこほんと咳払いをし、場を仕切り直す。


森「愛理君、初任務は如何だったかな?」

『………無様、でしたね。』

森「だろう?だからお願いしたんだ。」

『彼奴が寝返ろうが如何しようが結末は同じだったと云う訳ですか。』

森「結末は一つしか無かったのだよ。」


首領は最初からあの男が寝返るのを分かっていた。
其れでもギリギリまで利用しようとするのだから策士だ。
ポートマフィアは此の人ありきだと思い知らされる。


森「芥川君は彼女について如何思う?」

芥「敵に接触する事無く目的を達成する、故に精神系の異能力は矢張りマフィアには必要不可欠で或るかと。」


龍之介の私に対する————否、正確には私の異能力に対する評価を聞き首領は幾度か頷いた。


森「ふむ。では君は愛理君と組み給え。」

芥/貴「『…は?』」


あまりに唐突な申し出に二人とも素が出てしまう。
………真逆最初から組ませる心算だった?
龍之介に私と常に行動する様に命令したのは監視する為も或るけど相性を確かめる為?
それにしても急すぎる!


『あのぅ、私未だ入って一日目ですよ?其れに彼には樋口ちゃんが居るでしょう。』

森「問題無いよ。」


いや、大アリだわ。
ってか立場逆じゃない?
元敵の私がマフィアを心配してどうするの。

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