第18章 拾い者と落し者 其の二
「————————で、此の人は味方なんすか?」
下っ端達が全員死亡した事を確認し終えた立原くん、以下たっちーが青ざめ乍ら上司に尋ねる。
『何?私が味方だったら悪い事でも或るの?』
立「………いや、だって………ねぇ?」
彼が同意を求めた先は上から下までダンディを携えている広津さん、以下広津さん。
そして其の横で無言で頷く銀さん、以下銀ちゃん。
広「えぇ。嫌な思い出しか有りませんな。」
樋「二人とも愛理さんと知り合いなんですか?」
立「知り合いっつーか、敵、だよな?」
はっきり云え。さもなければ其の首を刈るぞ。
と云いたげに眉間に皺を寄せながら咳をする男を見て樋口ちゃんがうっとりしているのはこの際見なかった事にしておこう。
『私が探偵社に居た頃よく襲撃に来てたんだよ。………まぁ弱かったけど。』
立「お前らが化物なんだろ!?」
『化物なのは国木田さんと賢治くんだけね。』
銀「もっと居た。」
『んー、まぁみんな強いしなぁ。私は乱歩さんとお菓子食べながら見てるだけだったけど。』
立「冗談キツいぜ。一番恐ろしかったのはあんただよ。」
凄い速さで頷く銀ちゃんと広津さん。
え?私何にもしてないよね?
ただ応援してただけだよ?
樋「愛理さん一体何したんですか?」
立「此の人さぁ、俺らが必死で戦ってる横で喋りながら菓子食ってるんだよ。その内容がえげつなくて………。あんなん聞いてたら戦闘どころじゃねぇよ。心折れるわ。もう男としての自信ねぇよ。」
広「異能力を使わずしても精神的攻撃が出来る、と云う事です。」
樋「そっ、そんな事が……」
あぁーあ、折角先刻樋口ちゃんと仲良くなったばっかりなのに。
もう。何で余計なこと云うかなぁ?
樋「確かに愛理さんなら得意そうですね!」
青空の下に咲く向日葵の様な笑顔で此方を向く樋口ちゃんに私は黙ってありがとうと云うしか無かった。
『ってか龍之介もなんか喋りなよ!!絶対みんな何処行った?ってなってるよ!!』
芥「?僕なら此処に居る。」
『うん、私達には分かるけどさ……。』
芥「ならば良かろう。其れより首領に報告に行くぞ。」
樋「はい!!帰りましょう!!」
『切り替え早っ!!』