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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第18章 拾い者と落し者 其の二




樋口さんから説明された内容を簡潔に述べるとこうだ。
“マフィアを裏切った組織への制裁”


だが厄介な点があり、その組織は表向きは政治家や警察と癒着している為何が起こっても良い様に万全なセキュリティーを整えている。
其れだけなら駆け付けた警官も殺せばいい話だがそうもいかないらしい。


入り口に或る警報装置が鳴ればボディガードが三分で二十人集まる。
更には警報と共に組織のボスが逃げ出す為の様々な仕掛けが動き出し、其れをかい潜ってボスの部屋へ辿り着く頃には既にもぬけの殻。と云う具合だ。


『つまりはスピードが勝負?』

芥「然り。首領から貴様の異能が役立つと聞いた。」

『成る程ねー。其れで初日に初任務って訳か。』


前にも云ったけど私の異能力は忌み嫌われる精神操作系。
其れが役立つのが正に今。









「ッ!?————何故、此処にッ!?おい!!お前ら何をやっている!!さっさと私を守らんか!!」


私達が目的地に到着した時、ボスで或る男は如何にもな成金野郎で趣味の悪い指輪をした手で札を数えていた。
一瞬飴かと思ったわ、其の指輪。
あるよね。指輪の宝石の部分が飴になってて女の子が喜ぶやつ。


『あぁー、無駄だよ。此処に居る人は貴方以外みんな死んじゃったから。』

「そ、そんな訳が……『カメラ或るでしょ?観てみなよ。』


云われた通りカメラを観た男は愕然とし、頭を抱えて泣き出してしまった。


「何でも云う通りにする!!だから、命だけは……!!」


大の男がめそめそ泣くのってみっともなーい。
隣に立ってる樋口ちゃんなんか顔引き攣っちゃってるよ。
すると前に立っていた龍之介がカツンと音を鳴らし更に一歩前へ踏み出す。


芥「笑止。貴様の力等要らぬ。————弱者に生きる価値など無い。」


云い終えたと同時に男から大量の血が溢れ出しピクリとも動かなくなってしまった。


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