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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第18章 拾い者と落し者 其の二




『ねぇ。絶対勘違いしてるよ、あれ。って云うかいい加減離してくれない?』


彼が手を離してくれたところで照れを通り越し冷静になってきた私は、樋口さんには後で話をしに行こうと決意する。


芥「勘違い?何をだ。」

『あぁー………うん。いいや。』


同じ純粋でもこっちの方がタチが悪い。
疲れた。早く帰りたい。寝たい。


『えっ、そういえば私帰るところなくない!?』


探偵社寮は或るもののポートマフィアに籍を置けば無論帰る訳には行かない。
となると自分は家なき子同然だ。
矢っ張りマフィアになるの辞めて探偵社寮に帰ろうかな。


芥「心配には及ばぬ。首領が家を手配して下さっている。」

『え、本当!?良かったぁ。流石に心休まる場所が欲しいからね。』

芥「此れから案内しよう。」














そう云って彼からこの家を案内されたのが三時間前。
あれから食事や風呂を済ませ今はふかふかのベッドの中。


流石はポートマフィア。
高級なマンションには高級な家具や食材等必要な物が全て揃っていた。
洋服や下着までも。
おまけにサイズぴったりだったのが非常に怖い。
何処から入手したんだよ、そんな情報。
立派なセクハラでしょ。


そんな悪態を吐いているとつい思い出してしまう。
敦は今如何しているだろうか。
私が居なくなって落ち込んでくれていれば嬉しいなぁ、なんて思ってしまうのは寝惚けているからということにして置こう……。







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