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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第18章 拾い者と落し者 其の二




『あれは私の仕業です。』

森「へぇ。“マフィア”としてはよくやってくれたね。」

『………。』


森のわざと含みを持たせた云い方に彼女は苦虫を噛み潰したような表情をする。


森「武装探偵社は早速捜索しているみたいだよ。離反行為を犯した君を。」


蛇に睨まれた蛙。
此の状況にこれ以上の相応しい言葉は無いだろう。


『如何して其れを……』

森「福沢殿は殺生を好まないからね。うーん、私なら其の異能力もっと上手く使ってあげるんだけどねぇ…。」

『今のままで充分ですので。』

森「君も薄々気付いているのだろう?自分の異能力は“此の世界”においてトップクラスだと。そして其れは武装探偵社なんかでは役に立たない。如何だい?私の元で力を試す心算は無いかね?」

『力を、試す……。』

森「ずっと彼処に居ても何もならないだろう。力を抑えてただただ周りに合わせるだけだ。」


どちらも目を逸らす事なく互いに腹を探り合っている。
時折彼女の瞳が揺れている様に見えるのは気のせいか。
暫くの沈黙が続いた後、一方は折れる事を決め溜息を吐いた。


『……分かりました。此方に着きましょう。』

森「賢明な判断だ。では芥川君、約束通り君の部下にし給え。出来る限り彼女と行動するんだ。いいね?」

芥「分かりました。」

『これから宜しく御願いします。』


彼女は新しい自分の上司に頭を下げる。


森「では君の活躍を期待しているよ。」

『はい。』


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