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在りし日の歌【文スト】【短編集】

第15章 固縛




—次の日。


『んー、如何したものかな。此れは。』


今の状況を簡単に説明すると、任務の真っ最中で或る。
更に掘り下げるならば其の途中で此処最近、急激に力を付けていると話題の別組織が乱入して来たので或る。
しかも敵側と結託しているとみた。


『被害を最大限に抑えるには……』


元々ポートマフィアの強さを10とすれば3程の小さい組織を潰しに来たのだ。
だから下っ端十数名と芥川君と私で乗り込んだ。
其れなのに急に6の組織が現れ3の味方で或る事が判明した。
しかも6の組織の二人は異能持ち。


『でも足して9だからうちよりは弱い筈。あっ、でもマフィア全体で10なんだった。』

「先刻からブツブツ五月蝿ぇんだよ!考え事なんかしてる暇あんのか!?」

『愚問だね。戦闘って云うのは頭を使いながらする物だよ。———例えばこんな風にね?』


風を操る異能を持った彼と一対一で戦闘していた私は頭上を見るとひょいと後ろに下がる。
其れと同時に建物の天井に吊るしてあった巨大な機材が彼の上に落ちた。


「ゔっ………成る程、攻撃を避けると見せかけておいて、機材を斬らせてたって訳か。」

『御名答。って事でさよならだね。』

「其れは如何かな?」

『な゛っ!?しまった!!』


彼には手を打つ術が無いと踏んで居たが其れは間違いだった。
そう気付いた頃には彼と同じ様に機材の下敷きになっていた。


『気付いていたって訳。でも君も助からないんじゃない?』

「俺はっ、元より死ぬ心算だ。なんたって宮野愛理が来るんだからな、……此れで、ボスの役にっ、立てれば、其れで……良いんだ。」


私にボスへの忠誠心を見せつけた所で、彼は息耐えた。
……機材がメリメリと身体に食い込んでくる。
抜け出すのも不可能、そうなれば誰かが助けに来てくれる事を信じて耐えるしか無い。
ぼんやりとする意識の中で私の名前を呼ぶ声が聞こえた様な気がした。


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