第14章 ビー玉
- 二時間後。
あれから探偵社を追い出される様に帰った(勿論黒蜥蜴は置いて帰った)私達は首領に報告を終えた後、中也の書類を片付けるべく執務室へと戻っていた。
此の後私は用事が或る為何時もの1.3倍の速さで書類を書いていく。
「終わんねー。」
『此の書類に全く関係の無い私が手伝っているのにも関わらず?』
「元はと云えば手前がチョーカー取るから落ち着かなかったンだろうが。」
『唯借りてただけでしょ!折角の探偵社への襲撃だもん、お洒落しなきゃと思って。」
「否、必要ねェだろ。」
『知ってる?第一印象って大事なんだよ。』
「嗚呼。確かに大事だな。」
中也がまともな返しをした!と驚きつつも手を休める事無く仕事をする愛理を彼は眺める。
容姿もスタイルも良いが無表情で眼に光を宿していない、まるで人形。
其れが彼女に対する第一印象だった。
まぁ無理もあるまい、彼女の異能力を狙うが故に両親を始めとする身の回りの人が全員殺されたのだから。
初めは自分のせいだともがき苦しんでいたに違いない。
だが段々と、彼女は周りに人が居なくなることに慣れたと前に云っていたのを覚えている。
そんな愛理がニコニコと笑っている。
其れだけで充分なのだ。
……例え世界一嫌いなものと居ようと。
「まぁ元気過ぎるンだがな。」
『え?急に何?』
「何でもねェ。其れよりもう帰れ。用事或ンだろ?」
『何で分かるの?』
「何時もよりせかせかしてたら分かるだろ。………助かった。」
『つっ、ツンデレ!!!中也のツンデレ!!尊い!!』
「五月蝿ェ!!さっさと帰れ!!」
『ふふっ、じゃあお疲れ様。中也も程々にして帰りなよー?』
「嗚呼。」