第1章 君の相手は俺しかいない
「あんた、目が…」
彼女の両目はしっかりと閉じられており、今座っていたカウチには白杖が立てかけられていた。
「えぇ。なので、ごめんなさい、貴方のお名前を教えていただけませんか?」
少し困ったように彼女は微笑んだ。その表情に、承太郎の胸は大きく飛び跳ねる。
先程ステージ上にいる時は、距離も離れており、スポットライトでこうこうと照らされていたため彼女がずっと瞳を閉じていたことには気付かなかったのだ。
だが、そんなことは全く気にならないほど、彼女は美しかった。
白い肌、ツヤのある黒髪、一つ一つのパーツが整った端整な顔立ち。スラリとした華奢な肢体、そしてこの静流のような落ち着いた声。
彼女は、承太郎が子どもの頃から思い描いていたような女性そのものだった。