第13章 君へと続く夢 side TIGER
「バーニィ……
居ねーのかァ…?」
俺が《ここ》から連れ出されて2週間。
アポロンメディアは当然事態を大事にはしたくないらしく俺の引退は予定通り、バニーについては体調不良による長期休養だと発表した。
一時BBJのファン達が心配のあまりアポロンへ大挙して押し寄せたが、今ではそれも落ち着いている。
バニーの消息は未だ判明してない。
俺も探してはみたけど、バニーの所在は全然掴めなくてさ。
今日はふと思い立って、バニーのマンションへ来てみたんだ。
部屋には入れねーかなって思ったけど、マンションのコンシェルジュは俺の顔を覚えてて
「ワイルドタイガー様ならブルックス様もお許しになる筈でしょうから」と鍵を開けてくれた。
バニーが帰って来てる形跡は全く無い。
部屋の中は俺の奪還作戦で荒らされたままだ。
元々殆ど家具や装飾品も無いから、大して散らかってもねえんだけどさ……。
この部屋……こんなに殺風景だったっけ?
俺ってば結局ここに二ヶ月以上閉じ込められてたクセに、全く周りを見てなかったんだなァ。
バニーしか………見てなかったんだなァ……。
インテリアと言うにはショボいけどさ、俺はリビングのテーブルに置いてあるモノに目を留める。
それはロボットを象った小さな玩具と、倒れたままのフォトスタンド。
バニーってばこんな玩具を大切にしてたんだな…って少し表情を緩ませてからフォトスタンドを手に取って………
俺は大きく息を飲んだ。