第13章 君へと続く夢 side TIGER
「気が付きましたか!
タイガーさん!!」
ボンヤリとした視界が徐々に鮮明になってくると、俺の顔を心配そうに覗き込んでいるのが折紙だって分かった。
「ん……ああ……折紙かぁ…」
「良かった。
タイガーさん、3日も眠ったままで……」
「………3日?」
回らない思考をフル回転させて思い出してみる。
俺はどうしてた?
どこで何してた?
俺は……誰と……………
ドクンッ…と折紙にも聞こえちまうんじゃねーかってくらいに心臓が高鳴った。
その途端、身体がガクガクと震えて脂汗が噴き出す。
「タイガーさん!?
大丈夫ですかッ!?
直ぐにドクターを………」
立ち上がった折紙の手首をパシッと掴み、俺は低い声で言う。
「平気だから……
何があったのか教えてくれ。」
躊躇いながらも折紙はちゃんと説明してくれた。
先ず最初にバイソンが異変を感じ取ったらしい。
ヒーローを引退すると報告して直ぐに俺と連絡が取れなくなって、ブロンズの家にもオリエンタルタウンの実家にも帰っていない事に気付いた……と。
そこで当然相棒であるバニーに俺の所在に心当たりがないか聞いてみると、バニーは笑顔で「知りません」と答えたらしい。
「僕もその時、バイソンさんとバーナビーさんの遣り取りを見ていましたが
あのバーナビーさんの表情は……
笑っているのに背筋が凍りそうでした。」
そう言って折紙は一度だけ身震いをする。
結局、これはバーナビーが絡んでいるに違いないと踏んだバイソンが他のヒーローに相談して秘密裏にバーナビーの身辺を探った。
必要最低限の外出しかせず、買い物に行けば1人住まいとは思えない量の食糧を調達するバニーに、バイソン達は確信したんだ。
ワイルドタイガーはBBJに監禁されているって。
俺が自分の意思でバニーと一緒に居るってんなら連絡が取れないのも、全く姿を見せないのもおかしい。
だから監禁だって判断したんだそうだ。
それで情報を集め、準備を整えて……あの朝、俺の奪還計画を実行した。