第13章 君へと続く夢 side TIGER
ジェイク戦に勝利した後、笑ったバニーのグリーンアイは見惚れる程に綺麗だったのを覚えてる。
俺も大怪我しちまったけどさ、そのおかげってワケでもねーと思うが……
バニーが俺の呼び方を「オジサン」から「虎徹さん」に昇格させてくれたのが何よりも一番嬉しかった。
だけど、これで終わりじゃなかったんだよな。
本当の黒幕は他に居て、それはまさかのマーベリックだった。
両親を亡くしたバニーを陰日向に支えて、養父と言っても過言じゃなかったマーベリック。
バニーだって誰よりもマーベリックを信頼して生きて来たのに、まさかそいつに記憶まで操作されてたなんて。
もう何もかも信じられなくなっちまっても当然だ。
だからもうこれ以上バニーを傷付けたくなかったってのに!
それなのにマーベリックは再びバニーの記憶を操作して………
バニーは俺の事をすっかり忘れちまった。
けどッ……だけどさ、バニーは俺を思い出してくれたんだ!
俺を殺そうとする一歩手前で、俺を思い出して「虎徹さん」って呼んでくれた。
じゃあもう恐れるモンなんてねーよな?
俺とバニーはNEXT能力でも壊せない絆を手に入れたんだから。
他のヒーロー達とも協力し合って……
実は俺、またここで死にそうになっちまったんだけど……はは。
マーベリックを倒して、今度こそバニーは過去の柵を全部断ち切る事が出来たんだ。
「虎徹さん」って俺の名前を呼びながら本物の笑顔を見せるバニーの姿に、心底良かったと思った。
これからバニーはやっと自分の人生を生きられるんだって、それを俺が隣で見守ってやれるんだって、そう思ったのにさ………
神様ってヤツは本当に意地悪だよな。
人の幸せが許せないのかね?
そう……その頃にはもう、俺のハンドレットパワーの持続時間は2分を切っていたんだ。