第9章 君の手をひいて
「おーい、バニーちゃん。
脅すのも程々にしてやれよー。」
この場にそぐわない呑気な声と同時にタイガーも部屋に入って来る。
「ああ、虎徹さん。
男の方はお願いしますよ。
僕はさんを送って行きますから。」
「はいはーい、了ー解!」
男の襟首を掴んで立ち上がらせたタイガーはそのまま部屋を出て行きながら、私に向かって意味深なウインクをした。
「さん、怪我は?
痛い所は無いですか?」
私の拘束を解く手を休めず聞いてくるバーナビーの柔らかい声に、やっと助かったんだって実感する。
「ううん。大丈夫。」
そう答えながら当然沸き上がる疑問を聞いてみた。
「どうしてここが分かったの?」
「虎徹さんのおかげですよ。」
「タイガーの……?」
「ええ。
店を飛び出したさんを追って
貴女が車に連れ込まれる場面を見たんです。
その後、虎徹さんにハンドレットパワーで
聴覚と嗅覚を最大限まで高めてもらって追って来ました。
ちょっと時間が掛かっちゃいましたけどね。」
「どうして、タイガーに?」
バーナビーは少しだけ意外そうな顔をして
「だって僕のハンドレットパワーは
さんを助けるために残しておかなくちゃ。」
そして、ニッコリと笑ってくれた。