第9章 君の手をひいて
「あなたは誰ッ!?
どうして私を………」
あの後、その見知らぬ男に車の中へ引き摺り込まれて、この場所に連れて来られてしまったんだ。
ここ………どこだろう?
もう長い間使われていないオフィスみたいで、随分と埃っぽい。
外の音も全然聞こえないし、どこか奥まった人気の無い場所なのかな。
私は手首と足首を拘束されて床に座らされていた。
「アンタとさ、バーナビーの話を聞かせてもらったよ。
あのカフェの後ろの席でコッソリな。」
「それが……何?」
声を荒げて脅す訳でも無く、淡々と語る男が逆に怖くて堪らなかったけれど、私は負けないように気力を振り絞って男を睨み付ける。
「昨日の銀行強盗……
アレ、襲う前にアッサリ捕まっちまったのって……
アンタのせいだったんだな。
どういう能力か知らねーけど、
アンタがバーナビーに教えたんだろ?」
「だから……それが何ッ?」
「ハハッ……イイねえ。
気の強い女はキライじゃねえぜ。」
強くなんてない。
本当は大声で泣き出してしまいそうに怖い。
だけど私には守ってくれる人なんて居ないんだ。
自分一人で戦わなくちゃいけないんだから。