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君とならキスだけで【TIGER&BUNNY】

第9章 君の手をひいて


バーナビーの言葉を遮るように、私はガタンッと大きな音を発てて立ち上がる。

「そ……そうですよ!
 私はそんなのじゃないんです!」


『僕はさんの能力が目当てなだけです』


そうだよね、バーナビー?

ヤバい……泣いちゃいそうだ。

自分に都合良いように勘違いして、それで傷付いて泣くなんて……

ホント、みっともないな……私。

こんなみっともない姿、見られたくないよ。

「ごめんなさいッ!
 私……もう仕事に戻らないと………」

震える声で何とかそれだけを絞り出す。

そして引き止めるバーナビーの声を振り切って、私は店を飛び出した。




あーあ………

どうしてあんな馬鹿みたいな夢を見ちゃったんだろ。

こんな時に慰めてくれる家族も友達も居ない。

一人ぼっちでみすぼらしい私なんかがBBJの隣に居るなんて事、元から許されるワケないのにね。

ポロポロと溢れ落ちる涙をそのままに早足で歩く。

そしてふと背後に気配を感じて振り向くと

「ふーん……
 お前のせいだったのかァ。」

見知らぬ男がニヤニヤと薄気味悪い笑顔を浮かべて立っていた。
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