第9章 君の手をひいて
「ああ、虎徹さん。」
バーナビーもふんわりと笑って手を挙げる。
鏑木・T・虎徹。
そう、この人がワイルドタイガーの正体だ。
BBJと違ってタイガーは顔出ししていないんだけど、バーナビーのヴィジョンを見続けている私は当然知っていた。
「オオッ……バニーちゃん。
ナンパですかァ?」
「違いますよ、オジサン!
失礼な事を言わないで下さい。
この人がさんです。」
「ああ!
そっかァ……君がさんか!
はじめまして。」
人懐っこい笑顔でペコリと頭を下げるタイガー。
それから自然な流れでバーナビーの隣へ腰を下ろす。
「いつもバニーからさんの話を聞かされてるんスよ。
この前の爆発事故の時も
さんのおかげで俺は助かったんだって。
ありがとなー。」
「いえ……そんな………」
顔を真っ赤にして照れる私を、タイガーは柔らかい眼差しで見ててくれた。
「いやー……それにしてもオジサンは嬉しいよ。
あの堅物のバニーちゃんにこんな可愛い恋人が出来たなんてさ。」
…………恋人!?
え……バーナビーは私をそんな風に想ってくれてるの?
「チョッ………虎徹さんッ!」
隣で慌てるバーナビーを他所にタイガーの話は続く。
「しかもバニーをサポートしてくれる能力まで持っててさ。
ホント、理想の彼女だよねェ……バニーちゃん。
羨ましいわァ!」
どうしよう………顔が勝手にニヤけちゃう。
でも…………次の瞬間、私は自分の浅はかさを痛い程に思い知らされた。
「止めて下さい、虎徹さんッ!
さんはそんなんじゃないんです!
僕はさんの能力が…………」