第9章 君の手をひいて
再びバーナビーの手を振り払い小走りで距離を取ってから振り返ると、バーナビーはまだ私を心配そうに見ていた。
「あのッ………
おかしな事を言うのは分かってるんですけど……
多分、今日か明日……
とにかく24時間以内に大きな建物で火災が起こって
それに出動されます、きっと……。
えーと……それで……
えーと………
頭上に気をつけて……ワイルドタイガーの上…
見逃さないで……」
「は……?
あの……?」
バーナビーの表情が不審に歪む。
ホラ……やっぱりだ。
きっと私……変な女だと思われてる。
言わなきゃ良かった。
でも見えてしまった事は、伝えずにはいられなかったの。
「………ごめんなさい!」
私は踵を返すと今度こそダッシュでその場を走り去った。
その日の夜遅く、HERO TV LIVEで流れたのは、シルバーステージにある大型倉庫の爆発事故だった。
逃げ遅れた従業員を救うためにヒーロー達が出動し、怪我人は一人も出なかった。
救助中に燃え盛る倉庫が崩れ始めて、私は食い入るように画面を見つめたけれど……
崩れ落ちた瓦礫の中からBBJとワイルドタイガーが肩を組んで出て来たシーンに心底ホッとしたんだ。