第3章 であい
満員電車でもみくちゃにされながら30分。
ようやく着いた学校を前に彼女は思わず感嘆の声を上げた。
「わぁお。やっぱおっきーキレー」
そう呟いたあとこれで髪の毛が崩れてなかったらもっと気分上がるのにと赤葦にやってもらったサイドの編み込みを撫でながら付け足し再び教室へ足を進める。
教室の扉特有の音を立てて扉を開けると、どうやら一番最後に来たようで先に来ていたものに口々におはようと挨拶をされる。
個性の関係上女子には目の敵にされ、何故か男子には怯えられ挨拶なんてロクにされていなかった彼女にとってはとても新鮮な事だった。
そのせいか返した挨拶は少々声が裏返る。
そんな彼女に一人の女子生徒が声をかけた。
「はじめてまして。私八百万百ですわ。よろしくお願い致しますわ!」
「え、あ、うん!桃佳は…じゃなくて私は姫城桃佳よろしくね?」
一応挨拶を返した彼女だがその目線は確かに胸元にいく。
「?桃佳さんどうか致しましたの?」
「な、何でもない!発育の暴力だなんて微塵も思ってない!!何処で桃佳は間違えたんだろうとか思ってないっ!」
この発言には教室にいた誰もが吹き出すなり、固まるなりした。そして言った事全て思ったんだという事も教室中のものが察した。
勿論例外もいるが。
しかし、そんなクラスメイトの様子なんて知った事じゃないとでも言う様に彼女は八百万と名前順だとしたら本来彼女は"ばくごう"と言うものの後ろのはずが何故八百万の後ろの席なのかと言う話に花を咲かせていた。どう考えてもそこで咲かせるのは可笑しいとおもうが。