第6章 平穏な日々に嵐はやってくる~トド松
「・・・あ、ナス子ちゃん、お手洗い行くの? ぼくも今行こうと思ってたんだぁ、一緒に行こうか。ごめぇん、ちょっと行って来るねー!」
みんなにそう言うと、私の体を支えるようにしつつも足早にトイレの方へと連れていかれた。
さすがに個室まで一緒に入るわけにはいかないし、私も吐くところは見られたくない。
そこそこリバースして少しスッキリした私がトイレの外に出ると、トド松が待ってくれていた。
ジロリとこちらを睨んでいる。今日私にそういう顔しか向けてないからねトド松!!
「お酒なんてろくに飲めないのに、無理するからだよ。スクリュー・ドライバーとかルシアンとか、度数の強いやつばっかだしっ」
「そうだったんだ・・・そんなのわかんないし。おまかせしちゃってたからさ~・・・う゛~頭痛い・・・私もうちょっとここで休んでるからさ、トド松は戻りなよ。ごめんね、付き添わせちゃって。ありがと」
「別に平気だよ。みんなもう酔ってるし、結構盛り上がってるしね。誰も気にしないでしょ」
「そうかなぁ・・・まぁいいか・・・もうあんまり頭回らないや・・・・・・そういや、トド松とお酒飲むなんて、久しぶりだねぇ」
長いすに座り壁に背と頭を預けてそんなことを言うと、トド松も隣に座ってくれた。
先に戻ればいいのになぁと思いつつ、一緒にいてくれてるんだなと思うと、やっぱり少し嬉しい。
心配してくれてるんだろうな。
「姉さんが仕事始めてからは忙しくなって、一緒に出かけたり、ウチに遊びにくることも少なくなったからね。数年ぶりなんじゃない? てか姉さんはぼくたちほど飲んでなかったけどね、当時から」
「そっか~・・・もうそんなになるか~年を取るわけだよねぇ」
「なにそれ、オバサン臭いんだけど」
「どうせね~~オバサンですよ~~~だ」
「自分を磨くのを諦めた時にオバサンになるんだからね、言っとくけどっ」
なんかそれらしいこと言ってるよ・・・そういう価値観もあの環境でどうやったら身に付くわけ?
ホント謎なんだけど・・・なぞなぞトッティ・・・
なんでもない会話をしながらその場で少し休んでいると、少し良くなってきた。
ずっと席を空けてるのも失礼だし、そろそろ戻らないとね。