第6章 平穏な日々に嵐はやってくる~トド松
一松がミケ子ともう少し一緒にいたいというので、断る理由もなく、そのまま預けることにした。
ミケ子も一松のことは大好きみたいだし。
猫の世話は私なんかよりよっぽど一松のほうが手馴れているだろうから、なにも心配することもない。
というか、こういう言い方をしてしまってはどうかと思うが、返って都合がよかった。
なぜなら、松野家を改めて後にした直後、友人から電話があり、合コンのメンバーが急に一人足りなくなったのでピンチヒッターとして来てほしいと頼まれてしまったのだ。
合コンとか心底行きたくないけど、それなりに付き合いの長い友達だし、元々人からのお願いはNOと言えない悲しい性格・・・。NOと言える日本人になりたい・・・。
は~~嫌だなぁ・・・知らない人となんて何話したらいいかわかんないし、てか私人見知りだし、おまけにちょっと男性不信なとこあるし。
気分はまったくのらないが、普段は使わないシャドーパレットやグロスを取り出し、仕事用の簡素なメイクではなく、久しぶりにきちんとしたメイクで顔を作る。
休みの日にフルメイク・・・ああ・・・面倒臭い・・・
休みの日にオシャレ・・・ああ・・・棚から普段着ない服取り出すの面倒臭い・・・
気がのらない為かのろのろと仕度をしていたら、いつの間にやら約束の時間が迫っていた。
「あ、来た来た」
「ホントだ、お~い! ナス子~こっちだよ~!」
「ごめんっ、服悩んでたら遅くなっちゃった・・・! はぁ、はぁ」
う~~ん、運動不足を実感するな~
ちょっと走っただけでメッチャ息きれる。
ストレッチは普段からするようにしてるけど、運動っていう運動はまともにしてないもんなぁ
・・・年だな・・・とほほ・・・。とほほって言っちゃうあたりがもう年代が出てるよねぇ・・・
「集合時間までまだ15分もあるじゃん。走ってこなくてもよかったのに」
「いや~なんか気持ちが焦っちゃって・・・緊張してるのかなぁ?」
「ごめんね急に呼んじゃって。でも来てくれて助かったよ~」
相手の男性達はまだ来ていないみたい。
少し緊張が解け三人で立ち話しに花が咲かせていると、私の後方から男の声がかかった。