第3章 平穏な日々に嵐はやってくる~チョロ松~
カートを押してくれるチョロ松の後ろを歩き適当にチョロ松が食料をカゴに入れていく。
賞味期限、消費期限、日持ちするもの、何故か栄養ドリンクまで入ってる。
「あ、いくら分買うの?」
カゴにポイポイ私の命を繋ぐであろうものを入れながらチョロ松がこちらを振り返るが、あるコーナーに釘付けになっていた私は話を聞いていなかった。
駄菓子コーナーだ。
「わああぁ、これめちゃ懐かしくない?! この駄菓子。ねるねる的なやつとか、粉に絵とか字とか書いて固めて食べるやつとか、あとねあとね梅ジャムもあるしグーチョキパーグミもあるー! ねぇねぇチョロ松これも買う、これも買いたい!!」
手に駄菓子を抱え目を輝かせているであろう年上女子が年下幼馴染の元へ走りよると、もの凄い目をつりあげてこっちを睨む三男の顔がある。
「お前これ以上太ってどーすんだ!菓子は100円まで!! ってか今はお前の食料買い出しにきたんだろ!そんなん今時コンビニでも売っとるわっ、まずはこっちを優先しろ!」
怒られた。
さすが松野家の突っ込み頭、松野チョロ松である。
てかなに?カラ松とはまた違うタイプのお母さんキャラなの?!
とか突っ込もうかと思ったが、それよりあることが頭に浮かび、口はそちらの話題を優先した。
「あ、ねぇねぇ、チョロ松!駄菓子の擬人化設定とかよくない!?」
「は?」
「例えばこのねるねるは女の子で、語尾はネル。『そんなにかき混ぜちゃ嫌ネル~』みたいな・・・これはブドウ味だから髪は紫で髪型はツインのネルネル巻いた髪型♪」
「…いきなり何言い出すのかと思えば……。まぁ、でも悪くないんじゃない?」
「でっしょー? まぁ、駄菓子の擬人化ならもうとっくにされてそうな気もするけどさ。描いたら楽しそうだよねぇっ」
「うーん、じゃぁそっちの梅ジャム先輩は普段はすっぱ渋い男性キャラなのに仲良くなるとほんのり甘くなってくって感じはどう?」
こちらがネタを用意するとすぐ乗ってきてくれるのがチョロ松の好きな所。
「ギャー、梅ジャムって先輩なの?! 薄いまな板煎餅に挟まれたいっ、服はベージュでジャケットかなぁ! ネクタイは赤とか?」
うんうん、と楽しそうに同意してくれるチョロ松。
私の設定を更に付け加えようとしてくれる。