第3章 平穏な日々に嵐はやってくる~チョロ松~
「寒いー」
「そんな怪しい厚着しててもまだ寒いとかお前は十四松か」
「逆になんでそんな薄着で寒くないのよチョロ松は」
「いや、寒いけど」
「寒いんかぃ」
「でもあんまり厚着してると荷物もつ時にかさばるし、身軽になれるならそれに限るでしょ」
よく風邪ひかないなぁコイツ。
あ、でも風邪引く時もあるか、六つ子全員風邪を引いて大変だったとか聞いたりするもんな。
私も気をつけようと外の寒さから逃げるように足早にスーパーに入る。
カゴを持つとチョロ松がカートを持ってきてくれたのでそれにカゴを乗せた。
「何買うの?メモは?」
手を差し出されクエスチョンマークで首を傾げる。
「まさか何の準備も計画もなしに適当にスーパーに来たんじゃないよね?」
手をクイクイと何かを求める動きにやっと何を求めているか理解する。
「買い物リスト?」
「それ以外に何があるっていうんだよ」
ほら、よこせとばかりに手を出してくるが、勿論何の準備も計画もなしに適当にスーパーに来た私はそんなものは用意してないし、何を買うかもまだ全く決めていなかった。
「そんなのないけど・・・見ながら何買うか決めようと思ってたし」
また口をへの字にしてジロリと見られる。
「は~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ」
今日一番の長い溜息をつかれた。
私は今までの人生の中で何度コイツに溜息をつかれてきたのだろう。
もう数えきれない程呆れられてるのでキリがない。
「別にいいじゃーん、見て美味しそう!とか、これ日持ちするぅ♪とかの感覚でいつも買ってるし」
「この無計画女め。計画を立てるのはコミケだけか」
「う、うううるさいっ、コミケは広いし好きな作家さんとか下調べしないと回り切れないんだもん」
「食欲より萌えを追求する様は理解できるけど、無頓着すぎるだろ」
「サーセン」
「じゃぁ、僕について来て」
「うん」