第3章 平穏な日々に嵐はやってくる~チョロ松~
「い、いいよいいよ。足痛かったんでしょ? それに荷物も重かっただろうし手も痛いんじゃない? 気持ちは嬉しいけど無理しなくていいから!車だし、ちょっとぐらい買い物多くなっても平気だからさ」
「いや、送ってもらえるなら買い物くらい大丈夫だよ。それに僕らの間柄で今更遠慮する事もなくない? 足だってスーパーくらい平気だし」
うーん、確かに遠慮なしの間柄ではあるけど、長い距離歩いていただろうチョロ松に手伝ってもらうのもなぁ。
「ほら、行くよ。車出して」
「う、うん」
なんだかんだで面倒見いいよなぁ、シコ松ライジング。
「なんか言った?」
「な、何も声に出してないけど?!」
「顔に出てるんだよ」
「えぇ??!」
「昔からわかりやすいよね。嘘とかついてもすぐバレるし」
はぁ、とため息をつかれヤレヤレと首を振られる。
嘘が苦手というか本音がついポロリと出ちゃう癖があって結果バレる事はよくあるので、コチラもアチラも耐性がついてるんだなぁ。
それにチョロ松の昔の暴君ぶりを思い出すと、特にコイツ相手には嘘をつくと後が怖いので何かと誤魔化すにしても気を使っている。
「チョロ松こそ嘘下手じゃん、すぐに顔に出るし」
「僕は正直者だから嘘とかつかないし」
「はいはい、そうですかー」
口を尖らせ二人でああでもないこうでもないと会話しながら目的地へとすぐにたどり着く。
「うーわー、バック駐車の仕方下手だなぁ・・・もっとこうバっと、ビシっと、綺麗に線の中におさまらないもんかね」
でた、助手席文句モンスター。
これだから運転に対して文句とか突っ込んでくる人は助手席に乗せたくないんだよねぇ。
「しょうがないじゃん苦手なんだから。でもちゃんと線の中におさまってるし隣との車の間に隙間もあるしちゃんと出れるでしょー」
私が言い返すとジロジロと外を見て駐車位置を確認する。
「多少車が曲がってるけど、これがナス子の実力なんだから仕方ないよね。ま、これが僕ならもっと素早く綺麗に駐車できるけど」
またまた溜息をつかれた後、得意気に言い放ちしょうがないなぁとか言いながら助手席から下りていった。
まったく、小言が多い男だ。