第11章 地獄&最終話
気配を感じ取った京緋は、震えた声で珊瑚に訴えかける。
京緋
「ね…姉さん。そんな事しないよ、ね……?折角目覚めたんだ……、姉さんの願いが叶ったんだよ……?俺…は、姉さんの事好きだよ?「記憶」を消すと……姉さんの事も忘れちゃうんだよ……?いいの?……後悔しない…の?」
珊瑚は強く目をつぶり唇を噛みしめた後、小さく息を吐いた。
珊瑚
「……京緋、あんたが私を忘れたとしても、私を姉だと教えればいい……。今は願いが叶ったことよりも、この国が滅茶苦茶にしたことの方が後悔してるっ!!」
京緋
「ねえさ__!!」
珊瑚
「ごめん!京緋っ!!」
珊瑚が京緋の頭に触れたとたんに、辺り一面凄まじい光を放ち、京緋は声にならない悲鳴をあげ 紫黒と桔梗が押さえつけても動いてしまうほど、体が震える。
強風が吹き荒れて、京緋の「記憶」と描いた幻がどんどん珊瑚の手に吸い込まれていった。