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【黒子のバスケ】初恋

第5章 それは誰?


「…電話でなくていいのか?」
「…良いの…。」
「そうか…」
ーゆっくり寝ろよ。目もしっかり冷やすんだぞ。
由くんと別れてからホッとひと息ついて携帯を見ると黄瀬くんから何度か連絡がきていた。

これ以上は…ダメだ。

少しでも仲良くしてもらえた事を思い出に、この気持ちには蓋をしよう。

ただのクラスメイトに戻らなきゃ…

「ちょっと来て」
朝、学校に着くなり、いつもとは違う怒っているような黄瀬くんに腕を取られ…どこ行くの?と言う問いも聞こえてないのか答えてもらえない。

「涼太くーん。どこ行くの?」
「何?その子。そんな子ほっといて私たちと行こうよぉー。」
可愛い子ちゃんに声を掛けられるが彼はニコリともせず

「邪魔。どいて」
一蹴すると固まる彼女達を他所に屋上へと連れてこられる。

黄瀬くんが私を囲うようにして顔の横に手を付くと背中に当たる金網がガシャンと音を立てる。

「昨日の…いや目元…赤くなってるっスね。」
目を細めながら、そう言った黄瀬くんの大きな手が目元に伸びてくる。

咄嗟に恥ずかしくなり両腕で隠す
「…やっ!…あ、ゴメ…」

「な…んで。森山先輩は良いのにオレはダメなんスか?」
呟くように言った彼は苦しそうな傷付いた顔をしていた。

「なんで…黄瀬くんが傷付いた顔するの?私はちゃんとただのクラスメイトに戻らなきゃって…」
こんなのただの八つ当たりだ。
なんの関係もないのに逆ギレされて…。

でも…溢れ出した気持ちが止められない。
「それってどういう…」言いかけた黄瀬くんの言葉に被せるように

「…黄瀬くんが好きなの。彼女いるって分かってるのに…ゴメンなさい。もう行くね。」
こんなこと言われても迷惑だよね。
ーちゃんとただのクラスメイトに戻るから時間を下さい。

そう言って黄瀬くんの前から消えようとすると
「もう1回!今のとこ言って!」

「…え?今のとこって…」
「オレの事…なに?」
「…え…なんで…」
「いいから!」
「…黄瀬くんが好き…です。」
「本当っスか?」
えっ?なに?何かの罰ゲーム?

何か泣きそうと思った次の瞬間、唇に柔らかい感触を感じビックリしてパチパチ瞬きをするとフワッと優しく包まれる。

爽やかな柑橘系の良い香りが鼻を掠め黄瀬くんに抱きしめられていることに気づく。

「オレもチサトっちが好きっスよ。」
「…え。」
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