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【YOI・男主×ユーリ】扉の向こうとこちらのエロス

第4章 エピローグ


翌朝。
目を覚ました礼之は、見慣れぬホテルの広いベッドと腕の中の温もりと重みに、一気に現実に引き戻された。
「大事にしたい」と言いながら、その実ベッドでもその後のバスルームでも、ユーリにしてしまった自分のストレートな欲望に基づいた行為の数々を思い出すと、顔を青く赤くさせながら両手で覆う。
「う~…僕って、こんなに性欲強かったっけ…?」
心なしか疲れた顔で眠っているユーリに視線を移すと、昨夜己の未熟さから愛する人に相当無理をさせてしまった事を、改めて痛感する。
「ごめん、ユリ…僕、夢中になり過ぎた。大好きな、大切な筈の君に僕は…」
こんな身勝手な自分を、ユーリはもしかしたら嫌いになってしまったのではないだろうか。
どんどんマイナス思考に傾いてきた礼之は、極力音を立てずにベッドを下りると、手早く身支度を済ませた。
ベッドサイドのメモ帳に「昨夜は本当にゴメン。どうか気を付けて帰ってね」と走り書きを残し、そのまま部屋を出て行こうとしたが、

「待てコラ」
「わっ!?」

地を這うような声に、礼之は短く悲鳴を上げると振り返る。
「てめぇ、何処行くつもりだ」
「お、おはよう…」
「質問に答えろ。昨夜俺にあんだけの事しておいて、出すモン出してスッキリしたら用済みか?」
「ち、違うよ」
いつの間に起きていたのか、眉間に皺を寄せながらシーツに身を包んだ状態で、ユーリが鋭い眼光を向けてきた。
「それとも、練習あんのか」
「今日は、夜から…」
「ならこんな下らねえ書き置き残して、俺に無断で消えようとしてんじゃねえ!」
メモをグシャリと握り潰したユーリは、礼之に詰め寄ろうとベッドを下りたが、スプリングのせいかはたまた昨夜の疲れからか、腰からガクリと崩れ落ちそうになる。
「危ない!」
咄嗟に駆け寄った礼之がユーリの身体を支えると、ユーリの手が礼之の襟元を掴んできた。
「ロシア人のこの俺が、気紛れや酔狂で男に抱かれようなんて思う訳ねぇだろ?昨夜、俺がどんだけの想いでお前と一夜を共にしようとしたか、本当に判ってんのか!?」
「判ってるよ!僕だって、昨夜はここに残るまで随分悩んで…」
「全然判ってねぇよ。じゃあ何で、俺に内緒でトンズラしようとした?」
詰問するユーリの怒りの表情に、礼之はたじたじとなった。
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