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あなたには敵わない【鬼灯の冷徹】※裏夢

第1章 派遣社員の加々知さん


「あー終わった!」

ぐっと背伸びをして時計を見ると、
9時を少し回った頃だった。

普段なら10時以降も残っているのに
本当に彼さまさまだ。

「手伝ってくれてありがとう。今度なにか奢るわ」

「いえ、結構です」

「遠慮しないで。
それじゃあ私がモヤッとするの。
そうだ、良ければこれから飲みにでも行かない?明日土曜日だし」

彼から書類を受け取り、
不備がないか確認しながら少し離れた自分のデスクに戻った。

やっぱり彼の仕事は完璧だ、と感心していると
彼の少し不満げな顔を見てはっとした。

「もしかして、お酒は苦手だった?」

もしそうであれば申し訳ない。
これではまるでアルハラだ。

「いえ、そうではないのですが、
それ、あなたが飲みたいだけですよね」

図星をつかれた。

「確かにそうなんだけど……いいじゃない。
お互いの苦労を労って。ね?」

本当は少し違う、好意を持っている彼と飲みに行きたかったのだ。

「まあ断る理由はありませんが……」

「よし、じゃあ今から行きましょ!
どこがいいとか、何が飲みたいとかってある?」

「いいえ、とくにこだわりはありませんよ」

「それじゃ、私の行きつけでいいわね?」

久しぶりに飲みに行けると考えると嬉しくて鼻歌を歌いながらさっさと荷物をまとめた。

ため息が聞こえた気がしたが、
聞こえないふりをした。
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