第2章 飼ってあげてもよくってよ!
「こんなに人間に優しくしてもらったことは今までない」と、パンダ男の興奮は凄まじいものがあった。
「動物園に行ってもこの恩は絶対に忘れない」とも言った。
動物が自分の足で歩いて動物園に入りに来るなんて、そんなバカな話があってたまるか。しかもパンダと言っても、パンダ半分人間半分というバケモノである。実験動物にでもされるのがオチではないか。
私がそのことを告げると、パンダ男は明らかにショックを受けた顔をして、ガックリと肩を落とした。
なんだか可哀想な気持ちになってくる。
居所を求めて山から出てきたというのに。
まあ、下調べが甘すぎるのは自業自得だと思うけど。
しかし…
「ねえ、もう一度パンダに変身してよ」
「ん?どうしてだ?」
「確かめたいことがあるから」
パンダ男は怪訝な顔をしつつも体をゆすり、白と黒のパンダへと姿を変えた。
か…
か…
「かわいい〜〜〜!」
私は確認した。パンダである彼は間違いなくかわいい。
夢中でその体に飛びついた。
ワッシワッシと毛を撫でまくる。
普通の動物にこんなことをやったら間違いなく暴れられ、逃げられる。
でもこのパンダは違う。世間知らずな上に、私に恩義を感じているというこのパンダは、私の言うことは何でも聞くだろう。
これは人生最大のチャンスなのでは!?なで放題さすり放題抱きつき放題のパンダを手に入れる機会なんて、この先もう二度とないはずだ!